門松

お正月飾りの門松は、大きな家に住んでいる人しか行わなくなったかもしれません。正月行事で欠かせないシンボルで、松、竹、梅などの縁起の良い材料を使って主に玄関や門などの前に置く飾り物です。門松は、神様の依代(よりしろ)で、神様がお正月に家に来る際の目印になるものです。1213日は煤払いの日(すすはらいのひ)、大掃除をして一年の煤を落とす日ですが、これが終わったらいよいよ新年の準備、門松の飾り付けを始めます。一般的には28日までに飾らないといけないと言われています。門松をしまう日は17日から15日の間と言われています。

さて、門松を目印に神様が来るというのは、年神様のことを指しています。この神様は、彼方の異世界から人間世界にたまに来る神様で、お正月は年神様を招き入れる行事が本来です。昔はご先祖様も帰ってくるとされていました。そこで神棚や仏壇の掃除をして正月の準備をする習わしがあり、やがて家中を掃除して年神様をお迎えするようになりました。年神様として有名なのが、秋田のなまはげ、北陸のアマメハギ、鹿児島のトシドンです。しかし、このような年神様は実は例外で、関東近辺では、歳徳神という神様がやってくると言われています。神社等の社の中に鎮座しながら、いつもその場所にいる神様ではないので、目印も必要で、いる場所も必要なのです。だから丁重におもてなしをしなければなりません。お正月にやってきて各家々の幸福と一年の安寧をもたらして帰っていくといわれるのが年神様、歳徳神なのです。

正月に年神様を迎えるために一年の汚れを祓い、清めることを「煤払い」といいます。江戸時代、1213日に江戸城では「煤払い」を行っていました。一年間の汚れを払い、隅から隅まできれいにすると、年神様がたくさんの御利益を持って降りてくると言われ、江戸城では城内や神棚を煤払いし、江戸庶民も煤払いに精を出しました。これが今日まで伝えられ、煤汚れとは無縁の生活になった現在でも社寺などでは煤払いの行事が続いています。一般の家庭でも幸多き新年にするために、13日には大掃除をして正月準備を始めたいところですが、家中の掃除を終わらせるのは難しいのでこの日は神棚や仏壇などをきれいにし、大掃除の計画をたててみてはいかがでしょうか。本格的な大掃除は天気のいい日を選んで行いましょう。

大掃除は準備と天気が大切です。晴れて、少し風のある日が最適です。洗い物などで水を大量に使うのでお風呂の残り湯などをとっておくと節水になりますし、水温もぬるめで手がかじかむこともなく、作業がはかどります。雑巾やモップなどの掃除用品はもちろん、掃除用洗剤も確認して準備しておきましょう。掃除する順番は、天井→壁→床というように上から下へ、また、押入れ→戸棚→テレビの下など奥まったところから手前に掃除していくのが基本です。こうすればはじめに掃除したところを汚してしまうこともありません。スッキリ、きれいな家で新しい年を清々しく迎えたいですね。お正月の過ごし方は日本中の各地で様々であり、家によっても個人によっても様々です。いろいろなお正月の迎え方があるとは思いますが、令和3年は良い年になれるよう、願っています。お正月は一年間の安寧を願いながら良いお正月を過ごしましょう。