伊達巻の日

伊達巻の日という日があることをご存知でしょうか?毎年、524日が伊達巻の日と言われています。この伊達巻の日は、株式会社千日総本社(現:株式会社せんにち)という大阪にある玉子焼きや厚焼き玉子、寿司具などを扱う会社が制定したものです。伊達巻の日は、有名な戦国武将である伊達政宗の没した命日が524日であるため、この日にされたと言われています。伊達巻の名前の由来は諸説ありますが、その中の一つに、伊達政宗の好物であったためというものがあります。おせち料理に入っている伊達巻は一般的な玉子焼きに比べると豪華な印象もあり、伊達巻は勇敢で華やかな伊達政宗のイメージにぴったりです。

おせち料理に入る伊達巻にはいくつかの意味があります。まず、伊達巻は、巻き簾で巻かれ、平仮名の「の」の字を描くように作られています。これは昔、勉学に使われていた巻物を連想させます。そのため、学問の成就や発展の意味を持ちます。頭がよくなるようにという願いを込めて食べると良いとされています。また、地味なおせち料理を一層お祝いとして華やかなものとするために欠かせないとされています。伊達という言葉には「豪華に見せる、見栄を張る」という意味があり、派手な卵料理である伊達巻の由来にもなっています。そのため、伊達巻をおせち料理の一段目に入れます。おせち料理の壱の重は「口取り」と呼ばれ、昔から祝いの席で酒や吸い物とともに出される料理です。華やかで目立ち、老若男女に好かれる優しい甘味の卵料理なのです。

日本各地で様々な伊達巻が食されています。千葉県銚子市の一部では伊達巻をすし飯に巻いた「伊達巻寿司」が有名で、伊達巻の真ん中に寿司を入れたような作り方をしています。また、近年、販売されている伊達巻は、普段使いがしやすいような工夫がされたもの、甘さやカロリーが控えめなもの、和三盆を使用した高級なもの、はちみつやメープルシロップを使用したものなどが出ています。伊達巻は別名「カステラかまぼこ」とも呼ばれています。栗の入ったものや、チョコレートやイチゴ味、クリームチーズの入ったものなど、そのままお菓子感覚で食べることができるものも増えています。

 

欧米の食卓文化が入ってきて、おせち料理くらいでしか見かけない伊達巻という日本食のことを「馴染みが薄い」「あまり良く知らない」という人も多いのではないでしょうか?伊達巻の日をつくることで、おせち料理以外の用途でも伊達巻を食べる機会が増えることを願っているのです。伊達巻は、意外と家庭でも手軽につくることができます。いろんなレシピが出ています。「売っているものは甘くて少し苦手」という人でも、自分でつくれば味の調節ができますので挑戦してみてはいかがでしょうか。