忠犬ハチ公の日

48日は「忠犬ハチ公の日」ということをご存知でしたか?ハチ公は1923年生まれの秋田犬で、翌1924年から東大農学部の上野英三郎博士に飼われました。博士の存命中は渋谷駅まで博士の送り迎えをしていましたが、1925年に博士が急死した後も毎日駅前で主人の帰りを待ち続け、その一途な姿から忠犬と呼ばれるようになりました。そして、10年近くが経った193538日、渋谷駅の反対側の、ハチ公が普段行かない場所で亡くなっているのを発見されました。ハチ公は博士と同じ青山霊園に葬られ、亡骸は剥製となって現在、国立科学博物館に所蔵されています。

ハチ公の話については映画「ハチ公物語」などで既にご存知の方も多いのではないかと思います。ハチ公の銅像が渋谷駅前にあるのもご存知だと思います。ではなぜ、48日がハチ公の日になったのでしょうか?実は、忠犬ハチ公の銅像が1934年のこの日に建てられたことにちなみ、忠犬ハチ公銅像及び秋田犬群像維持会が制定した記念日だそうです。当時、銅像の除幕式にはハチ公自身も出席していたそうです。現在、渋谷駅前にあるハチ公の銅像は1947年に再建されたもので初代の銅像は第二次大戦中に供出されました。毎年この日に渋谷駅前で慰霊祭が行われています。ハチの出身の秋田県大館市でも毎年4月に大館駅前でハチ公慰霊祭を、10月の第2日曜日に生誕祭を行っています。

それでは、渋谷駅ハチ公前広場にハチ公銅像の向かいに設置されている「青ガエル(旧5000系)」はご存知でしょうか?渋谷に本社を置く東京急行電鉄株式会社が1954年から1986年までの間、運用していた鉄道車両で運行当時より緑の塗装と丸みを帯びた愛嬌のある車両外観から「青ガエル」の愛称で親しまれ、新車両への置き換えによる退役後も長野、熊本、福島などの鉄道会社が同車両を譲り受けて各地で長く運用されていました。2006年に東急電鉄が運用終了後に保存していた車両を渋谷区が譲り受け、渋谷駅前の象徴的なモニュメントとして設置し、観光案内所として現在もその役割を担ってきました。

そして、今年6月上旬に「青ガエル」が秋田県大館市へ移設することになります。忠犬ハチ公を縁として渋谷区は大館市と交流を続けてきましたが、大館市に誕生した「秋田犬の里」を、あらたな活躍の場とし、両市区の親交の象徴として活躍を目指すそうです。移設後は渋谷区と大館市の交流のモニュメントとして、交流のきっかけとなった忠犬ハチ公を中心に渋谷区と大館市の歴史変遷を展示しながら、座席シートを施設来場者の休憩場所として開放する予定です。

 

忠犬ハチ公の物語は、ハリウッドでも映画化され、その影響もあってか、海外でも有名になり、秋田犬は人気になっています。ロシアのプーチン大統領、女子フィギュアスケートのザギトワ選手が友好の証として贈られた秋田犬を可愛がっているのはご存知と思います。しかし、初めて海外に渡った秋田犬は、もっと古くてヘレン・ケラーに贈られた「神風号」なのです。忠犬ハチ公の話をきっかけに国内の交流だけでなく、世界にまで広がり、今や秋田犬は海外と日本との友好のシンボルとなっています。