ビスケットの日

228日は、全国ビスケット協会により制定されたビスケットの記念日です。1543年、種子島に漂着したポルトガル人は、鉄砲とともにカステラ、ビスケット、ボーロといった南蛮菓子を我が国に伝えたと言われています。しかし、当時、ビスケットは全国に展開することなく、長らく長崎の周辺にその名残をとどめたに過ぎなかったようです。そして、江戸時代になり、水戸藩の蘭医であった柴田方庵が、保存が効く食料であるビスケットに注目し、長崎留学中にオランダ人から製法を学び、その作り方を手紙に納めて、安政2年(1855年)228日に水戸藩に送ったとの記録があります。これが我が国最古のビスケットの記録です。この史実に基づき、228日を「ビスケットの日」としています。

そもそもビスケットって何?と疑問に思われる方もいるかもしれません。ビスケットとは、いわゆる典型的なビスケットであるハードビスケットだけでなく、クッキー、クラッカー、プレッツェル、乾パン、カットパン、パイ、これらの加工品のクリームサンドビスケット、チョコレートで覆われたものなどのすべてを含みます。また、サブレは多くの場合、クッキーの一種と位置づけられます。私の好きな鳩サブレもビスケットに含まれるなんて驚きです。これらのビスケット類の共通点は、小麦粉を主原料として練った生地を成形して焼くという点です。乳製品や卵、糖類、食用油脂などの使用される副原料によって、多様な製品が生まれています。なお、ビスケットについては、公正取引委員会の承認を受けた「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」が昭和46年(1971年)に制定され、その定義が定められています。

クッキー、クラッカー、プレッツェル、これらすべてがビスケット類だったとは意外ですね。クッキーについては、実は同じものを、イギリスではビスケット、米国ではクッキーと呼んでいます。我が国ではビスケットとクッキーを分けています。「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」の中では「ビスケットのうち、手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のものについてクッキーと表示しても良い」とされています。これは、この規制が制定された昭和46年当時、消費者団体から「消費者はビスケットよりクッキーの方が高級なものと認識しているので、クッキーについて何らかの定義付けをしてほしい」との要請があり、それに応えたものなんだそうです。

クッキーが高級品としての呼び名だったなんて驚きですね。クラッカーについてもビスケットが甘いものに対して、クラッカーは塩味のものが多いことから、クラッカーはビスケットとは別物と思われる方もおられるかと思います。しかし、クラッカーもビスケットの一種なのです。小麦粉を主原料とする生地をイーストで発酵させ、成形して、高温で短時間に焼き上げます。クラッカーの特徴であるサクサクとした軽い口当たり、食感は、発酵と焼き上げによるものです。安政2年(1855年)228日に水戸藩に送ったとされるレシピに基づいて作られたビスケットは、長期の航海に用いる保存食料としての機能を果たすものでした。そのため、食べれば歯が欠けそうなくらい固く、小さく割って、口の中で溶かしながら食べたと言われています。今では、日本中にビスケットが溢れており、中には100年や50年の歴史をもつロングセラーもあるようです。228日のビスケットの日には、国産小麦粉(当社でいえば「ネバリゴシ」)で焼き立てのビスケットや、お気に入りのビスケットを食べてみるのもよいのではないでしょうか。