処暑

日本には一年間を24分割し、それぞれに季節を表す言葉をつけた二十四節気という言葉があります。「処暑」とは、14番目の二十四節気のことを指します。2020年の処暑は8月23日です。処暑とは、読んで字の通り「夏が過ぎるころ」という意味を表しています。処暑の前の二十四節気は立秋(8月7日)で、暦の上では秋になります。しかし、立秋から処暑にかけては例年まだまだ暑い日が続く時期ですね。ニュースの天気予報などで「暦の上ではもう秋ですが」と言ったりするのは、このためです。江戸時代に太玄斎(常陸宍戸藩の第5代藩主松平頼救)が記した暦についての解説書「暦便覧」において「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と記されています。このことからも、処暑が昔から暑さが静まってくるころとされていたことがわかります。

昔から処暑の頃は台風が来やすい時期とされていました。二百十日や二百二十日と並んで台風特異日とも称されるようです。実際のところ統計的に処暑の頃には、台風がそれほど多いわけではありません。しかし、昔の人たちはこの暦に従って農作業を行ってきました。台風の襲来に敏感だったことが伺えます。昨今、台風の動きは例年とは異なってきています。現代に生きる私達も、処暑の時期に台風を意識すれば、備えあれば憂いなしですね。

台風特異日とされているほかにも、この時期は激しい夕立が降ることもよくあります。処暑の時期には、急な雨にも対処できるように折りたたみの傘などを持っておくことや、防災備品や非常食を見直しておくことをオススメします。処暑の前は立秋、後は白露で、夏が過ぎ去っていく処暑の時期は少し寂しさを感じさせますね。